人は他者を批判し蔑むことで、自己を高めることができる。「自分はこいつよりは上だ」と。そうすることで安心し、満足感を得る。その行為は、自尊心を保つための自己防衛であるようにも思える。誰でも意識の深層にその卑しい行為への欲求を持っている。例えるなら覚醒剤のようなもの。使えば気分はいいが、その代償は大きい。人間性の欠如へと繋がる。
そう理解していても完全に自制することは難しい。気づいたら何の意義もなく、相手を一方的に批判していることもある。それでも、それが卑しい行為であると知っていれば、結果は変わる。鬼の首を取ったように勝ち誇るのか、罪悪感が残るのか。その後自分は何をするのか。
ワイドショーが楽しいと思えるのもその欲求を満たしているからで、いじめが起きるのもその欲求を満たそうとするためである。いじめられる人間に特に問題があるわけではない。いじめられる側はただきっかけを作っただけに過ぎない。
最悪なのは、新聞やテレビなどのマスメディアがそれを増長しているということ。批判の意義を知らず、ただ他者を蔑んでいることに気づいていないのか。もしくは、それを知った上で、それを利益にしているのか。倫理を問うべき立場にいるマスメディアがこれと決別できない限り、いずれ人間性の欠如した社会が生まれることを回避できない。